コミッション・プロジェクト|東京都写真美術館3F展示室
東京都写真美術館の継続事業として、恵比寿映像祭2023から始まった「コミッション・プロジェクト」。日本を拠点に活動するアーティストを選出し、制作委嘱した映像作品を“新たな恵比寿映像祭”の成果として発表します。恵比寿映像祭2026では、第2回コミッション・プロジェクトにて特別賞を受賞した小森はるかによる特別展示を、総合テーマと連動させながら具現化します。
恵比寿映像祭では、映像という言葉を限定的に用いるのではなく、映像をめぐる様々な選択肢に目をむけ、多様化する映像表現と映像受容の在り方を問い直してきました。芸術と映像が人にもたらしうるオルタナティヴな価値観(ヴィジョンズ)の生成を促し、存続させていくためのプラットフォームとして、発信を続けています。毎回テーマをかかげ、「映像とは何か」という問いを投げかけながら、国内外の映像表現を紹介し歳月を重ねるなかで、映像を取り巻く状況は大きく変化し、映像を規定する枠組みやテクノロジーも多様化しています。
恵比寿映像祭2026では、映像や写真の役割への問いかけを継続しながら、より柔らかな視点で社会状況の変化を考察します。映像祭をプラットフォームとして、様々な声を展開しながら、映像・写真だけでなく、サウンドや演劇などという異なる表現も、新たな試みとして取り入れます。また、3F展示室では、第2回コミッション・プロジェクトの特別賞を受賞した小森はるかの作品、および東京都コレクションが、総合テーマと連動して展開されます。今回ならではの組み合わせによって、複合的な視点の場を創り出していきます。
いま社会は多様性の尊重を重視しています。しかし、人、文化や言語などの間にはたとえ共通点があったとしても、誤解、誤読は生じます。そして、戦争は止まず、格差は埋まらず、さまざまな摩擦の終わりが見えません。私たちはアンバランスで複雑な社会状況に直面しています。
恵比寿映像祭2026の総合テーマは、メインキュレーター・邱于瑄(チィウ・ユーシュェン)による台湾語が起点です。台湾語は口承で広がった言語で、19世紀に生まれた発音記号や、20世紀の漢字表記の展開を経て、多くの文献が編まれました(その中には1931年に出版された、台湾語–日本語の辞書『台日大辞典』なども含まれます)。日本語とも共通点が多く、いくつかの表記法が混在している言語です。
「日花1」(ジッホエ/Jīt-hue)と「聲音2」(シアーイン/Siann-im)を組み合わせた台湾語は、ひとつとして同じものがないさまざまな声音が響く空間に、木々の間から洩れた光が差し込む様子を現します。私たちを取り巻く環境では、重奏するように異なる声が行き来し、多声的に折り重なって響いています。
私たちは、長い歴史の変遷によりさまざまな文化が積層した台湾の言葉を導線に、いまの社会に存在する多様な文化、言語などが互いに影響し合う複層的な形に柔らかく光を注ぐ思いで、恵比寿映像祭2026を構成します。
写真、映像、サウンド、パフォーマンスなどを通じて、不協であったとしても響き合い、重なり合う思考や存在が交差し、視覚的・聴覚的なポリフォニー3を深く形成していきます。個々の声や形は消されることなく、複数の視点が交差して拡張されます。美術館に留まらず、恵比寿地域の複層的な空間で出会う数々の作品を通じて、あなたの柔らかな思索をお楽しみください。
東京都写真美術館の継続事業として、恵比寿映像祭2023から始まった「コミッション・プロジェクト」。日本を拠点に活動するアーティストを選出し、制作委嘱した映像作品を“新たな恵比寿映像祭”の成果として発表します。恵比寿映像祭2026では、第2回コミッション・プロジェクトにて特別賞を受賞した小森はるかによる特別展示を、総合テーマと連動させながら具現化します。
東京都コレクションとは、6つの都立ミュージアム(江戸東京博物館、東京都写真美術館、東京都現代美術館、東京都庭園美術館、東京都美術館、江戸東京たてもの園)が管理・活用する東京都が所有する資料・作品を指します。恵比寿映像祭2026では、東京都写真美術館3F展示室を中心に、総合テーマに沿って東京都コレクションから選りすぐって展示します。東京都が所有するコレクションの豊かな広がりをご堪能いただけます。
総合テーマを踏まえ、人類学の視点から映像と写真、加えてサウンドを主とした様々な表現を展示します。長い歴史の中で変化し続けてきた異なる言語や文化、そして私たちが直面する複雑な環境を一方で捉えながら、新たな関係性を見つめます。地下1F展示室を起点にし、「移動」から始まり、混ざり合った環境のなかで様々な聞こえにくい声が個々に広がっていきます。2F展示室では社会に存在する規則や言語の形式を再考し、同じ空間のなかで多様性を受け入れたとしても、アイデンティティの誤読・誤解は時々生まれてしまう、その「ズレ」を問いかけます。展示室内外でも形のない音が響き合い、視覚的・聴覚的なポリフォニーを深く形成することで、複層的な空間を展開します。
東京都写真美術館1Fホールを会場に、恵比寿映像祭のために特別に編まれた上映プログラムを連日お届けします。劇映画から、実験映画をはじめ、日本初公開作品を含め、国内外から多様な作品が集います。上映後には、監督やゲストを招きトーク・セッションを開催します。
東京都写真美術館1Fホールやスタジオを会場に、従来の映像の枠を超えたパフォーマンス、ワークショップ、アーティスト・トークを展開します。恵比寿映像祭2026では、新たな試みとして演劇プログラムを取り入れ、さらにサウンドパフォーマンスも加わります。映像や写真という領域を拡張する、この場所ならではの体験をお楽しみください。
どなたでも参加できるフェスティヴァルを目指し、さまざまな教育普及プログラムを用意しています。ワークショップ、ギャラリートークをはじめ、恵比寿映像祭をより身近に楽しんでいただくための、多彩なプログラムを実施します。
デジタルとアナログを横断しながら、実験的プロジェクトを展開し、インターネット・アートで活躍するエキソニモ、個人と集団のアイデンティティに着眼し、映像やパフォーマンスなど多様な表現で制作するFAMEMEの作品を、恵比寿ガーデンプレイス センター広場および恵比寿スカイウォークに展開。訪れた人々すべてに新たな鑑賞体験を提供する屋外作品が登場します。
地域連携プログラムでは、例年より範囲を広げ、恵比寿近隣から複数の文化施設を新たに加えます。それぞれの文化施設では、選りすぐりの展覧会と多彩なイヴェントを開催します。また、各施設をめぐるシールラリーを通じて、フェスティヴァルを楽しむきっかけを提供し、シールを集めると恵比寿映像祭限定の記念品をプレゼントします。この機会にぜひ訪れてみてください。
総合テーマ「あなたの音に|日花聲音|Polyphonic Voices Bathed in Sunlight」に沿って、映像や写真に関する多文化的な視点、言語の役割、そしてコミッション・プロジェクトおよび映像アーカイヴを深く掘り下げます。国内外から多彩な登壇者を迎え、多彩なシンポジウムを通じて、映像、写真と音が持つ多義性と可能性を多角的に考察します。